映画で観る戦争の歴史!名作戦争映画の舞台紹介!

皆さんは「戦争映画」と聞いてどのような映画を思い浮かべるでしょうか?手に汗握る銃撃戦、歴史を知ることの重要性、平和の尊さなど、私たちにとても大きなものを与えてくれるのが戦争映画です。今回は実際の戦争の歴史を紹介しながら、戦争映画の代表作を10本取り上げて解説していきます。

 

1位、プライベート・ライアン(1998年)

1944年6月6日、ドイツに占領されたフランスの北部、ノルマンディー地方のオマハ・ビーチにアメリカをはじめとする連合軍の上陸用舟艇が上陸し、ドイツ軍の占領地に侵攻します。パリの解放を目的とした「ノルマンディー上陸作戦」です。上陸成功後、映画の主人公であるアメリカ陸軍大尉ジョン・H・ミラーは、「戦地で行方不明になったライアン二等兵を発見・保護せよ」、との命令を受け、部下を引き連れて前線へと向かいます。

「ノルマンディー上陸作戦」を描いた映画『プライベート・ライアン』は、監督スティーブン・スピルバーグ、主演トム・ハンクスで製作された戦争映画の金字塔です。映画冒頭のオマハ・ビーチ上陸の場面では、戦争の地獄絵図をまざまざと見せつけ、今作を観た人は必ず恐怖のどん底に陥れられることになるでしょう。上陸した兵士たちはドイツ軍の攻撃によって一瞬にして死体と化し、そこら中に腕や足などが散乱しています。今作のエクストリームな戦争描写は『野火』、『ハクソー・リッジ』など、以降の戦争映画に多大な影響を与えました。

スピルバーグは「残酷描写」に長けた映画監督であり、なおかつ超絶的な「ミリタリーオタク」でもあります。今作でも実際の戦闘で使用された銃火器の本物の音を使用するなど、彼のオタク精神が爆発している作品でもあります。

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2位、プラトーン(1986年)


舞台は1967年。米ソ間における東西冷戦の代理戦争として始まったベトナム戦争が泥沼化していく中、主人公のクリス・テイラーは大学を中退してまでも陸軍に志願し、ベトナムの地に立つことになる。最初は正義感溢れる青年だったクリスだが、過酷な戦場の現実を知ることによって、彼の中の正義感が少しずつ揺らいでいくことになる。

監督のオリバー・ストーンは映画と同じ1967年にアメリカ陸軍の空挺部隊に所属し、ベトナム戦争を経験しています。グリーンベレーの通称で知られているアメリカ陸軍特殊部隊として偵察活動を行っており、その時の経験を元に今作は製作されました。

戦争という過酷な状況において人間の善悪の価値観が崩壊していくというストーリーであり、人間の「善」を体現しているキャラクターであるエリアス三等軍曹の死に際のシーンは、今作を代表する名シーンになっています。

ベトナム戦争は、当時のアメリカのカウンターカルチャーの時期と重なったことや、アメリカが初めて敗戦を経験した戦争でもあり、ハリウッド映画の題材としても多く取り上げられました。『ディア・ハンター』、『タクシードライバー』、『地獄の黙示録』、『フルメタル・ジャケット』などの名作映画の舞台、または裏の時代背景としても取り上げられています。

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3位、ジャーヘッド(2005年)


映画『地獄の黙示録』の有名な「ワルキューレの騎行」のシーンを観ながら、大人数の海兵隊員が大歓声をあげていると、上官から出兵の命令が下り、高揚感をそのままに彼らは中東へと派遣されます。その中の一人、アンソニー・スウォフォードもアメリカ海軍の狙撃兵として徹底的に訓練され、遂に実戦のチャンスがやってきたと胸の高まりを抑えられずにいました。しかし、1990年の夏に派遣された国はサウジアラビア。湾岸戦争が始まり、油田を守るために彼らは派遣されたのですが、戦闘地域はほど遠いため、訓練と待機の日々を彼らは送ることになり今か今かと実戦の機会を待ち続けることになります。

 

この映画は戦争映画には珍しく戦闘シーンが極端に少ない映画ですが、兵士として鍛え上げられていく中で、人間としての人格を少しずつ失っていく、という点がテーマとなっている作品です。タイトルの「ジャー」とは「空っぽのガラス瓶」という意味があり、兵士として訓練されることで「頭が空っぽ」になってしまった人間の切なさを描いています。

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4位、リダクテッド 真実の価値(2007年)

映画『キャリー』、『スカーフェイス』、『アンタッチャブル』など、様々なジャンルの名作映画を撮ってきた巨匠ブライアン・デ・パルマ監督のイラク戦争を題材にしたモキュメンタリー映画。モキュメンタリーとは、フィクションをドキュメンタリー風に表現する手法であり、主人公のアメリカ兵が持っているビデオカメラや、兵舎に備え付けられている防犯カメラなどの映像を組み合わせた映像群によって、イラク戦争中に起きた「マフムーディーヤ虐殺事件」の真相に迫る、という映画です。

「マフムーディーヤ虐殺事件」とは、イラクで実際に起こったアメリカ兵によるイラク人少女レイプ、及び彼女の家族4人を殺害したという事件です。主人公は毎日カメラを回してイラク戦争の状況を撮影しています。事件現場でも犯行を犯そうとする兵士を止めるためにカメラを回し続けますが、彼の制止も虚しく事件は起こってしまいます。アメリカ兵にレイプされるイラク人の少女という構図はまさにイラク戦争そのものとも重なり、そこでただ見ていることしかできない主人公は、戦争の映像を観るだけで何もできない我々映画の観客と重なります。

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5位、サウルの息子(2015年)


『リダクテッド 真実の価値』は主人公の手持ちカメラの映像による映画でしたが、『サウルの息子』も主人公の主観映像のみで映画が進んでいきます。主人公のサウルはユダヤ人でありながらユダヤ人の死体処理を行う「ゾンダーコマンド」という役割をナチスに強制され、アウシュビッツ強制収容所で行われているユダヤ人大量虐殺の死体の山を毎日片づけされられます。

今作の画面は通常の映画よりも狭く、映像も常に主人公の背中を追っているので彼の周囲の光景はピントが合っておらず見えにくい状態が続いています。これは主人公サウルが、あまりにも過酷な現実というものを直視できず、常に外部からの情報を遮断しながら生きているということを表しています。

映画監督にはスティーブン・スピルバーグやロマン・ポランスキーなどユダヤ人が多く、今作以外にも『シンドラーのリスト』、『戦場のピアニスト』、『夜と霧』、『ショア』など、ホロコーストを題材にした映画が数多く作られています。

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6位、戦場でワルツを(2008年)


戦争映画において「ユダヤ人=戦争の被害者」というイメージが一般化されていますが、その価値観を相対化するような、ユダヤ人が行った戦争の残虐行為を描いた作品が、2008年に製作されたイスラエル映画『戦場でワルツを』です。

今作の主人公かつ監督であるアリ・フォルマンはイスラエル国防軍に所属していた1982年頃の記憶が無くなっていることに気づき、その記憶を辿っていく、というドキュメンタリー映画なのですが、今作の特徴はアニメーションを用いてドキュメンタリー映画に仕上げている、という点です。

アリ・フォルマンは記憶を辿るうちに、「サブラ・シャティーラの虐殺」に自分が兵士として立ち会っていたことを思い出していきます。この事件は、1975年から始まったレバノン内戦の中で、親イスラエルのバシール・ジェマイエル大統領がパレスチナ側によって暗殺されたことに対する報復攻撃で、1982年9月16日から2日間にかけてイスラエル軍がパレスチナ難民キャンプに突入し、1800人以上の民間人を殺害しました。

映画では主人公のアリ・フォルマンは、自分が残虐行為に関与したという忌々しい記憶を自分で修正していた、ということでアニメーションによって彼の修正された記憶は描かれるのですが、「サブラ・シャティーラの虐殺」の真相が明るみなっていくことで、彼の本当の記憶が蘇っていきます。

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7位、アンダーグラウンド(1995年)


カンヌ、ヴェネチア、ベルリンという世界三大映画祭で賞を獲得したサラエボ出身の世界的巨匠エミール・クストリッツァの監督5作品目。1991年から2000年にかけて継続したユーゴスラビア紛争を題材としています。

1941年4月、ナチスがユーゴスラビアに進攻してきた際、主人公のマルコとクロの一団は共産党員狩りを恐れて地下に逃げ込み、そこで生活を始めます。地上では第二次世界大戦も終結したのに、マルコが地下の時計の進み方を遅くしていたために、地下の人々は未だに地上では戦争が起こっていると信じ込んでいます。しかし、遂に地下での生活が崩壊し人々が地上に上がってきたときには、地上ではユーゴ紛争によって彼らの祖国ユーゴスラビアは無くなっていました。

クストリッツァはサラエボ出身でありながらも、父親はセルビア人、母親はムスリム人という、まさに様々な民族が混ざり合っていたユーゴスラビアを体現しているような人物です。そのためユーゴスラビア紛争を描くことが彼の映画人生の最も大きなテーマとなっています。

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8位、ルワンダの涙(2005年)


アフリカ中央部に位置するルワンダではフツ族とツチ族間での対立関係が長く続いていました。元々裕福な生活をしていたツチ族に対抗して、1959年にルワンダ革命がフツ族によって起こり、それ以降、フツ至上主義的なイデオロギーが高まります。そして1994年にジュベナール・ハビャリマナ大統領の暗殺をきっかけに、フツ族によるツチ族の大量虐殺が始まり、およそ50~100万人が犠牲になりました。

この虐殺が起こった際、ツチ族を保護したカトリック修道院の寄宿学校がこの映画の舞台になっています。学校がフツ族によって包囲される中、ルワンダに派遣されて学校に駐留していた国連の多国籍軍が彼らにとっての唯一の防衛手段でしたが、彼らの帰国のリミットも迫っていました。主人公の教師ジョー・コナーたちはツチ族を助ける方法を模索し奔走します。

脚本・プロデューサーとして参加しているデヴィッド・ベルトンを含め、今作の製作には虐殺から生き残った人々が何人も参加していることも話題となりました。

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9位、ボーダーライン(2016年)

FBI捜査官のケイト・メイサーは自身が担当している事件を追ううちに、事件がメキシコの麻薬戦争絡みの様相を呈してきたため、国防総省のチームに加わりメキシコの麻薬カルテルのボス、マニュエル・ディアスを捜査することになる。彼女は一緒にチームに参加している寡黙な男アレハンドロと共にメキシコ麻薬戦争の闇に潜入していき、アレハンドロの壮絶な過去も次第に明らかになっていく。

映画の舞台であるアメリカとメキシコの国境地帯は麻薬密売組織(麻薬カルテル)の抗争が激しい地帯であり、特にメキシコのシウダー・フアレス市では麻薬絡みの事件によって2009年には2500件以上の殺人事件が発生した「世界で最も危険」と言われた地域です。近年は治安改善に力を注ぎ、犯罪発生率は減少しているものの、麻薬戦争は終結からほど遠い状況にあります。

泥沼化したメキシコ麻薬戦争と重なるように、映画『ボーダーライン』も映画の始まりと終わりが繋がるような構造になっており、終わらない戦争というイメージを浮かび上がってきます。今作の原題『Sicario』とは「殺し屋」という意味です。映画を通じて「子供」が随所に登場しますが、この「子供」を追っていくことで原題の意味も映画のラストで分かるようになります。

 

10位、アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015年)


最後に紹介するのは、これからの時代の戦争に欠かせない存在になっている「ドローン」を使用した戦争サスペンス映画『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』です。

イギリス、アメリカ、ケニアの対テロ合同チームは、ソマリア南部を中心に活動するイスラム過激派組織「アル・シャバブ」の幹部たちをナイロビの隠れ家で確認する。彼らは自爆ベストを使って今まさにテロを決行しようとしていたため、合同チームはドローンによるミサイル攻撃で彼らを殲滅させることを決定する。しかし、ミサイルの爆破範囲に含まれる隠れ家の近くの道路で、近所に住んでいる少女がパンを売り始めたため計画は一時中断。合同チームはテロを未然に防ぐか、目の前の少女を救うかの決断を迫られることになる。

劇中では、ハチドリ型や虫型のドローンが登場しますが、これから実際に実用化されているものであり、現在はもっと小型化しています。ドローンを使って一方的に対象に攻撃する、というスタイルが今後の戦争の主流になることを示している一本です。

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まとめ

いかがだったでしょうか?一口に「戦争映画」と言っても、様々なジャンルや題材の作品があります。ここで紹介した作品以外にも「戦争映画」は数多く存在しますので、ぜひ様々な戦争映画を鑑賞してみてください。きっとあなたの心に突き刺さる一本が見つかるはずです!